「喜びは2倍に、苦しみは半分に」
結婚を語るときによく使われるフレーズですが、実際はどうでしょう?
私自身の経験から語ると、喜びはたしかに2倍になるかもしれませんが、相手の苦しみを引き取ってあげることなんてできないことに気づきます。
Number976号掲載の独占ロングインタビューにて、元プロ野球選手の鈴木一朗氏(違和感がすごいので以下イチロー)が、弓子夫人について語っていた内容がとても素敵だったので紹介させていただきます。

Number(ナンバー)976号「完全保存版 イチロー戦記。」 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2019/04/11
- メディア: 雑誌
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球場でホットドッグを食べるのが夢だった
引退会見でのおにぎりエピソードによって、プロ野球選手イチローを長年支えていた弓子夫人の献身性が話題になりました。
もちろんおにぎりは氷山の一角で、数えきれないほどのエピソードがあるはずです。本号では弓子夫人がイチローの試合出場中は、自宅でも球場でも決して食べ物を口にすることはなかったというエピソードが語られています。
それをイチローが知ったのは引退後、2人でマリナーズの試合を見に行った時にホットドッグを食べながら「球場でこんなふうにホットドッグを食べるのが夢だった」と言われてはじめて知ったそうです。イチローが戦っているとき、弓子夫人も人知れず戦っていたのです。
妻の存在は大きな支えだったとイチローは語っています。
「一緒に戦ってくれていましたからね。僕よりもよっぽどしんどかったと思います。だって直接、戦えませんから......僕は直接、戦えるじゃないですか。だから敵の感触もわかるし、悔しさも嬉しさも直に感じることができます。でも弓子は試合を観ながら、いろんなことを想像して戦ってきたわけで......僕がうまくいかないときは、僕よりも苦しかったと思うんです。うまくいかない理由を想像するしかないんですから」
Number976号 p22より引用
自分が直接戦えない苦しさ。
それを決して口にすることはなく、あたりまえのようにイチローの「あたりまえ」を支えていました。
それを「自分よりしんどかった」と感謝することのできるイチロー。
そんなふたりのパートナーシップをとても羨ましく感じました。
相手が苦しいときにできること
一般的なパートナーシップにおいても「相手が苦しいときのほうが苦しい」という人は意外と多いのではないでしょうか。
苦しみは本人だけのものであり、代わってあげることなんてできません。他人の気持ちがわかるなんてことは決してありえないのです。だからこそイチローが言ってるように想像するしかなくて苦しい。
自分で解決できないもどかしさ。
言葉をかけることすらままならない無力感。
そんなことを感じた時にできることはいつもと変わらない様子でそばにいて、そっと寄り添うことだけなのかなと思います。
イチローは結婚についてこのように語っていました。
「よく言うじゃないですか、結婚生活、嬉しいことが倍になって、苦しいことは半分になるって......それ、まったく違うと思います。嬉しいことは確かに倍になりますけれど、残念ながら、苦しいことだって倍になるんです。これから結婚する人には『夢、みてんじゃねえよ』って言って差し上げたいと思います(笑)」
Nunber976 p26より引用
結婚生活に夢を見てはいけないというのは激しく同意ですが、夫婦として現実をともに戦うというのは悪くないものです。
喜びは2倍で苦しみも2倍。
もしかした2倍の苦しみの分だけ喜びもさらに倍になるかもしれません。
そうなると喜びは4倍で苦しみ2倍?
ガバガバの計算ですがそういうことにしておきましょう。
本日はこれにて。
ありがとうございました。