風流。
それは「2番の歌詞」を愛でること。
コンテンツが多すぎて時間がないこの時代。サビだけやショートバージョンだけしか聴かない人もいるみたいで、楽曲をフルで聴くというのは珍しい行為なのかもしれません。
たまにはのんびりと2番の歌詞を味わいましょう。
雅な心で。
「勇気100%」 作詞:松井五郎 作曲:馬飼野康二
みんな大好き忍たま乱太郎。
なんと30周年になるんですね。NHKアニメでは最長寿らしいです。
自分が子どものときに始まったこのアニメに息子もすっかりハマってしまい、最近は親子でいっしょに観るのが日課になっています。
オープニング曲は30年間ずっと変わらず「勇気100%」。
光GENJIにはじまり、たくさんのジャニーズグループに歌い継がれてきた名曲です。
当時からいい曲だなとは思っていましたが、大人になってからもメロディと歌詞が心に響きます。息子がたどたどしく歌ってるのを聴いただけで泣けてきちゃう。
この曲ではAメロから切なさのあるBメロ、そして元気いっぱいのサビ(hey hey)に繋がっていく部分がたまらなく好きなんですが、その2番がさらにたまらん。
じっとしてちゃ
はじまらない
このときめき
君と追いかけていける
風が好きだよ
昨日飛べなかった
空があるなら
今あるチャンスつかんでみよう
嗚呼、太陽みたいに笑う君と風を追いかけたい。
アニメの曲は1番の歌詞しか知らないという人も多いでしょうが、2番の歌詞を見てみると色々と発見がありますよ。
「CHA-LA HEAD CHA-LA」作詞:森雪之丞 作曲:清岡千穂
アニソン界のレジェンド、影山ヒロノブさんが歌うドラゴンボールZのオープニング曲。
この曲はなんといってもサビの破壊力。
「CHA-LA HEAD CHA-LA(チャラヘッチャラ」という天才的フレーズでアガりまくります。
1番サビ
CHA-LA HEAD-CHA-LA
何が起きても気分はへのへのかっぱ
よくわからんけど元気になれる歌詞からの2番サビ
CHA-LA HEAD-CHA-LA
頭空っぽの方が夢詰め込める
急にいいことを言う。
そのギャップが最高ですね。
さっきまでヘラヘラしてた悟空がいきなり核心をついたことを言う。そんな感覚に似ています。(ちなみに子どもの頃は悟空が歌ってると勘違いしてました。)
作詞の森雪之丞さんによると「HEAD CHA-LA」というのは頭をチャラにするという意味らしいので、曲のテーマを最も表現した部分なのかもしれません。
カラオケでこの曲を歌っている時に友達に「2番はいらんでしょ」と停止ボタンを押されて、マジギレしたのは良い思い出です。むしろ2番を歌いたいんだよ。オレは。
「innocent world」作詞作曲:桜井和寿
私が2番の歌詞を愛でるようになったきっかけ。
それが桜井和寿。
思えば最初に買ったCDもMr.Childrenで、歌番組やCMでは聴くことのない2番をはじめて聴いた時のワクワク感を今でも覚えています。
当時は「2番の歌詞はCDを買った自分だけが知ってる」みたいな謎の優越感を持っていました。
桜井さんの歌詞って「終わりなき旅」の”高ければ高い壁の方が~”や「名もなき詩」の”愛はきっと奪うでも~”など2番サビが有名だったりするんですが、2番Aメロも一級品です。
近頃じゃ夕食の話題でさえ仕事によごされていて
様々な角度から物事をみていたら
自分を見失ってた
真理ですなぁ。
小学生からこの曲にはお世話になっていますが、いまだにここのフレーズが急に頭に浮かんで胸が締め付けられることがあります。
「スターゲイザー」作詞作曲:草野正宗
これまた鉄板。
草野正宗。桜井和寿とならんで2番歌詞界の怪物です。
草野さんの歌詞も桜井さんとは違った方向でめちゃくちゃいい。
名曲ぞろいの中でも、この曲「スターゲイザー」の2番サビの歌詞が特に印象に残っています。
一度きりの魔球を投げ込む
熱の向こうへと
泣いて笑って泥にまみれた
ドラマの後で
歌詞の流れとしては「ま、魔球?」って感じで割と唐突なんですが、それが妙に心にひっかかる。
「なんでそこでその語彙が出てくる?」ってのが草野正宗流。
難しい言葉を使わないんですが、出てくる単語のチョイスとタイミングは誰にも真似できません。
私は歌詞を解釈したり、考察するのが苦手です。
草野さんの歌詞も色んな考察ができればもっと楽しいかもしれないですが、草野さんの歌詞で一生モヤモヤしているのもアリかなと最近では思っています。
「蒼糸」作詞作曲:川谷絵音
川谷絵音さんも作詞家として素晴らしい。同世代の中でもダントツなんじゃないでしょうか。そして仕事量がおかしすぎる。
ゲスの極み乙女とかジェニーハイで見られるようにinterestingとfunny両方の面白さもありますし、美しい詞を書く人でもあります。個人的にはindigo la End(インディゴラエンド)の個性溢れる楽器隊の演奏にしっとりと溶けていくような歌詞が好きです。
この「蒼糸(あおいと)」という曲は歌詞はもちろん、曲名も素晴らしいし、演奏もめちゃくちゃ格好いいし、PVも最高。全部好き。
1番サビの「太った恋」というフレーズがすでに素晴らしく、2番サビではその繰り返し、そして二回り目で変化をつけてくるという構成がニクい。
もらってばっか 太った恋に
擦れて減ったさよなら
その気ない弱いセリフ落っこちた
守ってあげる 救ってあげる
思ってたってどうしても
この恋には軽すぎたみたい
祈った今日と
笑った明日を
連れて行った明後日
紡ぎだす恋心首ったけ
好きって言って
抱きしめてよ
本当はそんなことばっか考えてるよ
太字のところでいっつも泣きそうになります。こんな恋、したことないけどな。
月を愛でるように
2番の歌詞の魅力とは?
それはきっと「奥ゆかしさ」にあるのではないでしょうか。
2番の歌詞も1番という太陽があり、そのかたわらでひっそりと確かに輝きます。
そんな月のような佇まいに私は心惹かれます。
みなさまもぜひ好きなアーティストの2番の歌詞を愛でてみてはいかがでしょう?
本日はこれにて。
ご拝読ありがとうございました。