私は地方で生まれ育ち、大学進学時に上京。いまは都内に家庭を持っているいわゆる地方出身者です。
奥さんも別の地方出身で、どちらかの実家に帰る予定もありません。
のほほんと都内で暮らしていますが、そろりそろりと忍び寄るのが「実家どうする?」問題です。
あー、考えたくない。
相続はどうする?
実家は畳むか?それともUターン?
親の介護はどうするか?
などできれば先延ばしにしたい問題ですが、「その時」は必ずやってきます。
本日は「その時」に備える手始めの一冊を紹介します。
【あらすじ】
地方から都内に出てきて家庭をもったハジメ君(50)はひとり実家に住む母親の入院をきっかけに実家について考えはじめます。
実家に戻るか?
実家を売るか?
実家を貸すか?
様々な選択肢がありますが、そのどれも一筋縄ではいきません。
ストーリー自体はマンガで分かりやすく、法律や手続きなどの解説も載っているので実家の畳み方マニュアルとして持っておきたい一冊です。
本の内容とあわせて、いま自分自身が考えるべき3つのキーワード
- 相続
- 空き家
- Uターン
について語っていきます。
相続
まず「実家どうする?」問題を考えるにあたって、相続は避けて通れない話です。
相続なんて、いままでドラマの中の話だと思っていましたが、実は誰もが直面する問題なんですね、、
読んでいて衝撃的だったのは被相続人(財産を遺す人)が死んだ瞬間に相続は自動的に始まって終わるというところ。その後3か月以内に財産の分割を行うことになります。
財産分割の話合い(分割協議)の合意は全員一致が原則なので、小さな金額でも兄弟間で揉めるケースも多いみたいです。
・どんな財産があるのか
・不動産など分けにくい財産をどうするか
このあたりは親が元気なうちに兄弟間で話しておく必要がありそうです。
空き家
社会問題のひとつである空き家問題。これはみなさんの実家にもあてはまります。
親が住んでいるうちはいいですが、人が住まなくなった家はすぐに弱ります。
売るにも売れないし、高齢になると管理も大変だから放置してしまう。そんな空き家が増えているそうです。
離れていると疎遠になるご近所関係に、かさむ出費。その結果として、敷地や建物の管理ができなくなる。これが、全国の田舎で放置家屋が増えている理由です。
管理者のいない空き家には誰が入り込むかわかりませんし、不審火や倒壊で周りの人に危害を及ぼす可能性もあります。荒れたままなら、そこに新住人が引っ越してくることはありませんから、地域に新しい風を入れることもできません。空き家の放置は故郷に大きなダメージを与えてしまうのです。
p71より引用
実家の放置は家族の問題だけでなく、自分のふるさとにとってもデメリットだらけです。 もし自分が都内に残り、実家には住まないという道を選ぶなら、放置だけは避けたいと思います。
売る
貸す
事業などで活用
といった方向性で考えた方が良さそうです。
自治体に空き家を登録して買い手・借り手を募集する空き家バンクという制度も活用できそうです。
【ホームズ】空き家バンク | 地方移住・田舎暮らし向けの物件情報
全国の 空き家バンク から物件を検索【アットホーム 空き家バンク】
Uターン
家を処分できないなら、実家に戻るUターンという選択肢もあります。
しかし、それにはパートナーの同意が必ず要ります。
とくに同じ地元ではない場合。
自分にとってはなじみのある場所でも、パートナーにとっては見知らぬ土地で暮らすことになります。その不安は計り知れません。
ハジメ君の奥さんもUターンには不安をみせていました。
決して昨日今日の話合いで解決する問題ではなく、日頃から話をしておかないといけませんね。
それに、パートナーだけでなく自分自身の問題もあります。
故郷とはいえ、一人暮らしをしていたわけではありません。10年以上離れていた土地に家族を含めた自分の生活を確立するわけです。そう簡単に考えない方がよいでしょう。
地方から出た人は分かると思いますが、都会ってなんだかんだ便利なんですよね。仕事もたくさんあるし。
Uターンして家はあるけど、仕事はない、やりたいことができない、では本末転倒です。
感傷ではなく、現実と向き合う
この本を読んだ後
「自分はなんも考えてなかったなー」
と少々反省。
私の実家は本著のハジメ君と同じくひとり親ですが、兄弟もいるので心の中で「誰か何とかしてくれるか」という気持ちがあったのかもしれません。
親が60歳をこえたあたりから、親の老いを感じ取ることが多くなってきます。
年に1回の帰省でもそれを感じるのですから、実際はもっとなんでしょう。
私自身も答えは出せていませんが、大事なのは「実家がなくなると寂しいな」
という感傷ではなく、現実的にどうしていくかを決めていくことだと思います。
実家に帰ると、居心地の良さにかまけて大事な話を後回しにしてしまいます。
団らんの時間も大事ですが、しっかりと話しづらい話をしなくてはいけないなと思わされた一冊でした。
本日はこれにて。
ありがとうございました。