野球好きには変人が多い。
のっけからビーンボールまがいの偏見を投げつけてしまったが、心当たりのある野球ファンは多いはずだ。
「自分はそんなことないよ」と思ったそこのあなたは多分、変人です。おめでとう。
野球に恋する変人たちの物語を紹介する。
この作品に登場する「変人」たちが愛おしくてたまらない。
「自分をプロ野球選手と言い張る芸術家」の話なんかは最高に狂気と愛を感じた。字面だけで既にヤバさが伝わってくる。
他にもたくさんクレイジーな人が出てきます。乞うご期待。
プロ野球への恋
”「プロ野球の存在意義とは、その街の人々の暮らしが少しだけ彩られたり、単調な生活がちょっとだけ豊かになることにほかならない」”
この作品を読みながら、元日本ハムファイターズ新庄剛志の言葉が頭に浮かんでいた。
少し調べてみるとプロ野球再編問題の時の発言らしい。(個人的にパリーグの今の盛り上がりがあるのは新庄氏のおかげと言っても過言ではないと思っている。)
「少しだけ」や「ちょっとだけ」の部分が妙にトガっている変人たちの、プロ野球と共にある生活。
その面白さ、くだらなさ、やるせなさがこの作品には詰まっている。
新庄氏の言葉を借りると、それこそがプロ野球の存在意義なのである。
読み終わった後、ちょこっとだけプロ野球のない世界を想像してみる。
野球そのものを失うことよりも、これまで一緒に、一球一球に、一喜一憂していた人たちがいなくなることが寂しかった。
まだまだ変人たちに会いたい。
プロ野球に恋をしていたい。