"「翔、遅い、遅い、遅いよ。外のチームなんてあり得ないだろ。もっと早く決めて連絡しろよ。翔のいないチームなんておれは絶対に考えられないぞ」"
育てる力 栗山英樹「論語と算盤」の教え p48より
いきなりでビックリした方もいるかもしれませんが、本日紹介する野球本のここが一番好きなんです。
著者である北海道日本ハムファイターズ監督の栗山英樹氏がチームの主力打者中田翔選手からFA権行使をせずチームに残留するという連絡を受けた時の言葉です。とくに「遅い、遅い、遅いよ。」のバックスクリーン3連発はザ・栗山英樹という感じで秀逸です。
本日は著書の紹介にかこつけて栗山監督のヤバさを語っていきます。
栗山監督を救った「論語と算盤(そろばん)」の教え
かつて苦しむ栗山監督は「日本資本主義の父」といわれる渋沢栄一氏の著書である「論語と算盤」に出会い、その教えに救われました。本書では人材育成と組織作りにもっとも大切な「論語(道徳)と算盤(経済)」の教えを自身のチーム作りにどのように活かしてきたのかを解説しています。「どのように人を育てるか」「強い組織をつくるにはどうするか」といったビジネスの世界にも通ずる普遍的な内容なのでやきう好きだけでなく、ビジネスマンにオススメの一冊です。
栗山監督のヤバい愛
栗山監督のキャラを一言であらわすと「野球愛・選手愛がヤバいやつ」です。
選手を下の名前で呼ぶ監督がこれまでいたでしょうか?最初は正直気持ち悪いなと思ってたんですが今ではむしろそれがよい。ジョジョの絵みたいなものです。
2012年の就任当初、エースであったダルビッシュ有選手がメジャー移籍で抜けたこともあり「栗山監督で日本ハム大丈夫なのか」と手腕を疑問視していた方も多かったはずです。
しかしこれまでの野球界の気質にとらわれない組織づくり(これは日本ハムというチームの特殊性もあるでしょうが)によって就任6年でリーグ優勝2回うち1回は日本一という結果を残しました。今では私もすっかりテノヒラクルーして好きな監督のうちの1人です。
なんと言っても大谷翔平選手の二刀流の実現。これは栗山監督がいなければ成しえなかった平成の偉業です。
それらはすべて栗山監督の野球、そして選手へのヤバい愛に基づくものです。本著ではそれをたっぷりと味わうことができます。
ヤバい男になるには利他的でいることだ
そんなキャラクターの強い栗山監督ですが、本著の中で利他的であることの重要性を説いています。それはもちろん「論語と算盤」の教えに基づくもので、「自分の利益だけを求めると必ず衰退する」と考え自己を滅して野球と選手に愛を注いでいることが本著から伺えます。そして逆説的ではありますがそのことが野球人としての強い自己表現となっているのです。
自分が何者か知りたい。何者かになりたい。そんな悩みを持っている方は本著を読んでみたらヤバい愛を持つ喜びに目覚めるかもしれません。
本日はこれにて。
お付き合いいただきありがとうございました。
ビジネスマンにおすすめの野球本