こんにちは。
キウイズムです。
2017年の日本プロ野球は福岡ソフトバンクホークスの日本一という結果で幕を閉じました。
私は中日ドラゴンズファンなんですが今シーズンはぶっちぎりの5位(矛盾した表現ではあるが事実)でした。来年は最後まで日本一を夢見るくらいはしたいものです。
来シーズンまでヒマなので、野球ファンの間で話題のセイバーメトリクスを学びながら今シーズンの中日ドラゴンズを振り返ってみることにします。
セイバーメトリクスや中日ドラゴンズに興味のある方に読んでいただければ嬉しいです。
セイバーメトリクスとは?
野球に関する統計的な研究で客観的なデータで選手の評価、分析を行う考え方です。
「送りバントは得点期待値を下げるとか」とか
「ヒットは全部運次第で、投手の実力はホームランと三振と四球のみで評価する」とか
従来と異なる視点で選手の貢献度を示す指標になるので、単純な選手成績や普段感じてる印象からは違った見方が得られます。
あんまりデータデータ言うとちょっと敬遠してしまう人もいるかもしれません。
プロ野球の最大の魅力は実際にみる選手のプレーやストーリー性、野球場の雰囲気、そういったデータでは表せない部分にあります。しかし野球は数値のスポーツです。「数値を知ることによって新たな魅力を発見したい」そんな思いでこの記事を書いてみることにしました。
前置きが長くなりましたが、このシリーズではセイバーメトリクスには「どんな指標があるのか?」というのを紹介していきます。
そのうち選手個人や野球をみてて「おっ?」と思ったことにスポットライトをあてて記事を書いていく予定です。
データはこちらのサイトのものを使用しております。
*無料版でも豊富なデータが見られます。さらに月1000円の有料会員は規定到達選手以外のデータもみることができます。
記念すべき第一回はWPA(Win Probability Added) 勝利期待値の増減について解説していきます。
これは勝利期待値をどれだけ増減させたかという指標なんですが、まずは「勝利期待値とはなにか?」という話をしていきましょう。
勝利期待値とは?
特定のゲーム状況(点差、アウト、ランナー)でのチーム勝率を過去の膨大な試合データから導き出したものです。
いわゆる勝負の分かれ目といわれる場面ではこの指標が大きく動きます。
そしてWPAはどれだけ勝利確率を上げたか(下げたか)という指標です。
ざっくり言うと
いいとこで打つor抑える ➡︎プラス
いいとこで凡退or打たれる➡︎マイナス
場面の重要度が高いほど増減幅が大きいってことですね。
この説明だけでは不十分だと思いますので実例を見ていくことにしましょう。
実際の事例によるWPA解説
2017年シーズン日本シリーズ
DeNAベイスターズーソフトバンクホークス
DeNA2勝、ソフトバンク3勝でむかえた第6戦
9回裏1outランナーなし
DeNA3-2ソフトバンク
このゲーム状況の場合、過去のデータからみてソフトバンクの勝利期待値は0.101(10.1%) でした。
マウンドに立つのはDeNAの守護神である山崎康晃選手
あと2人抑えれば3連勝で3-3となり日本シリーズ最終戦にもつれこむ
迎えるバッターはソフトバンク4番の内川聖一選手
ソフトバンクにとっては絶体絶命の場面
いったいどうなってしまうのか?
値千金の同点ホームラン!
9回裏1outランナーなし
DeNA3-3ソフトバンク
という状況に変わりソフトバンクの勝利期待値が0.572(57.2%)に上がりました。
この内川選手のホームランで勝利期待値は.101➡︎.572と上昇したのでこの打席でのWPAは+.471となります。勝率を五割近くあげるバッティングだったわけです。
実際ここで「ホークス勝ったな」と思った方も多いのでは?
もちろん内川選手も毎回打ってるわけではないので下がるときもありますが、
日本シリーズの累計のWPAは.726で両チームトップとなっています。
ただのメンタルお化けですね。
ちなみにシリーズ累計2位はDe宮崎選手(.707)、3位はシリーズMVPのサファテ選手(.616)でした。
このように試合状況に左右される指標なので、短期決戦ではバラツキも大きいですがシーズンで見てみるとゲームに対する貢献度が見えてくるんじゃないでしょうか。
ちなみに12球団でみたベスト5はこんな感じです。
2017年NPB WPAトップ5 野手編
# | Player | T | WPA | -WPA | +WPA |
1 | 柳田 悠岐 | H | 5.51 | -7.08 | 12.59 |
2 | A・デスパイネ | H | 4.08 | -9.11 | 13.19 |
3 | 田中 広輔 | C | 3.99 | -9.98 | 13.97 |
4 | 丸 佳浩 | C | 3.85 | -10.12 | 13.97 |
5 | 糸井 嘉男 | T | 3.79 | -8.04 | 11.83 |
投手編
# | Player | T | WPA | -WPA | +WPA |
1 | 菅野 智之 | G | 5.54 | -8.92 | 14.45 |
2 | M・マイコラス | G | 3.20 | -10.18 | 13.38 |
3 | 菊池 雄星 | L | 2.83 | -10.94 | 13.77 |
4 | 東浜 巨 | H | 2.74 | -8.51 | 11.25 |
5 | 千賀 滉大 | H | 2.38 | -8.49 | 10.86 |
優勝チームの重要な打者やエース級が名を連ねているところをみると勝利への貢献という部分で重要な指標となるんじゃないでしょうか。
それではいよいよドラゴンズの選手たちの数値を見ていきましょう。
上記のランキングは規定打席、投球回を達成した選手ですがそれがめちゃくちゃ少ないので
野手・・・100打席以上
投手・・・30イニング以上
の選手を対象としています。
達してない選手は。。。来年がんばりましょう。
2017シーズン中日ドラゴンズWPA 野手編
# | Player | WPA | -WPA | +WPA |
1 | A・ゲレーロ | 2.47 | -10.03 | 12.50 |
2 | 大島 洋平 | 1.39 | -8.10 | 9.49 |
3 | 福田 永将 | 1.32 | -5.47 | 6.79 |
4 | D・ビシエド | 1.13 | -7.28 | 8.41 |
5 | 平田 良介 | 0.84 | -5.14 | 5.98 |
6 | 京田 陽太 | 0.81 | -10.58 | 11.39 |
7 | 松井 佑介 | 0.63 | -2.02 | 2.65 |
8 | 藤井 淳志 | 0.43 | -8.42 | 8.85 |
9 | 谷 哲也 | -0.54 | -1.96 | 1.42 |
10 | 高橋 周平 | -0.65 | -2.91 | 2.26 |
11 | 遠藤 一星 | -0.84 | -2.95 | 2.11 |
12 | 松井 雅人 | -1.14 | -4.57 | 3.43 |
13 | 亀澤 恭平 | -1.16 | -5.84 | 4.69 |
14 | 堂上 直倫 | -1.90 | -3.70 | 1.80 |
15 | 荒木 雅博 | -1.99 | -5.33 | 3.34 |
長打のある選手の出場数が鍵 若手は藤井選手越えを
1位は去就が注目されているゲレーロ選手、色々言われてますが打撃面での貢献度はやはりナンバーワンですね。いなくなるとやばい。
2位はさすがの大島プロ。3位は後半戦の希望の福田選手。
昨シーズンからなにか掴んできてるので来シーズンは是非フル出場していただきたい。
あとは5位の平田選手。ケガするな。
やはり長打のある選手はドカーンと数値が上がりやすいですね。福田選手、平田選手が来年どれだけ試合にでれるかが鍵になりそうです。
累計がプラスになっているのが8位の藤井選手からですがレギュラーを狙う選手基準は藤井選手を超えないと厳しいかなと思ってます。 松井佑選手なんかもパフォーマンスの持続が課題になりそうです。
投手編
# | Player | WPA | -WPA | +WPA |
1 | 又吉 克樹 | 2.42 | -9.32 | 11.74 |
2 | 岩瀬 仁紀 | 1.29 | -4.68 | 5.97 |
3 | ジョーダン | 0.74 | -5.09 | 5.83 |
4 | 田島 慎二 | 0.61 | -7.76 | 8.37 |
5 | 鈴木 翔太 | 0.36 | -5.30 | 5.66 |
6 | 祖父江 大輔 | 0.20 | -3.36 | 3.56 |
7 | 笠原 祥太郎 | 0.12 | -2.74 | 2.86 |
8 | R・バルデス | -0.27 | -12.23 | 11.96 |
9 | 大野 雄大 | -0.31 | -11.82 | 11.51 |
10 | 柳 裕也 | -0.39 | -3.62 | 3.23 |
11 | 伊藤 準規 | -0.39 | -5.18 | 4.78 |
12 | 小笠原 慎之介 | -0.41 | -8.92 | 8.51 |
13 | 三ツ間 卓也 | -0.53 | -3.81 | 3.28 |
14 | 若松 駿太 | -0.63 | -4.36 | 3.73 |
15 | 吉見 一起 | -2.02 | -7.96 | 5.94 |
兎にも角にも先発陣の奮起に期待
1位は又吉選手、先発に中継ぎにとチーム事情から配置転換が繰り返されながらもこの数字は立派だと思います。
2位は岩瀬選手。これは意外でした。
後半打ち込まれる場面が目立ったものの勝ちパターンを担うなど大事な場面を抑えてきたということでしょう。カムバック賞おめでとう(涙)
4位の田島選手はシーズン通して守護神として働いてくれましたが意外に低い数字でした。巨人戦でのセーブ失敗でガクッと数字を下げてるのが痛かった。
巨人戦を除くと素晴らしい成績だけに来年はちょっと対策を考えた方がいいのでは。
全体としてやはり今年は先発に苦しんだ年と言えそうです。ただ5位の鈴木選手など若い選手も出てきているので来季は期待したいと思います。
また野手投手それぞれの最下位は荒木選手、吉見選手とともに黄金期を支えた選手です。この辺りの選手は来季どのように使っていくか。世代交代のため経験をチームに還元していくという役割ももちろん期待されていますが、シーズンは長いのです。優勝するチームというのはベテランがいいところで働くものなのでもう一花咲かせて欲しいです。
それでは今回はここまで、
次回は守備の指標について書いていきたいと思います。
それでは今日はこの辺で。
お付き合いいただきありがとうございました。
セイバーとドラゴンズVol.2はこちら